作品を構成する3要素と「欠損」とか。

 少し、世界観についてまとめていました。
 物語に使う分の世界設定というよりは、変えても問題の無い部分だったり、本編中では見えなさそうな部分のことです。
 私は今回の作品の世界観を、一応は「スチームパンク」のつもりで構想していたのです。あの独特なクラシカルな雰囲気や備品や、それが出てくる生活とか冒険が好きで、それを自分自身でもしたくなったのですー。
 でも、そうすると「じゃあスチームパンクらしさって何?」という疑問にあたりまして。それについて、考察サイトさんを見たり云々をして、色々と考えていましたー。
 蒸気とぽんこつ感。使い勝手の悪い機械群。何で動くかよく分からず、使うとすぐ壊れる機械仕掛け。懐中時計、ガス灯、セピア色の写真。金管楽器、金のモールド。使い古した皮の色合い。その辺りでしょうか、キーワードとしては。
 そちらの考察では「それっぽいビジュアルとガジェットがあれば、それがスチームパンクというものらしいです。スチームパンクそのものの定義は厳密には決まっていなくて、+αの追加要素で多用に変わっていくものだそうです。そこから考えると、スチームパンク+大正浪漫=サクラ大戦だったり、+海洋冒険=ナディアとかだったり、+魔法=FF6だったり。そういうことなのでしょうか、たぶん。総論としてはスチームパンクはそれっぽいモノがあればOKで、あとは追加要素で個性を出す」という感じでしょうか。
 そうした考察の中でもすごく刺激的だったのは、「スチームパンクという世界では〝欠損〟が生じて、それがキャラクターやドラマと連動していく」という言葉でしょうか。
 うんと、FF6であれば。過去に魔法はあったものの失われてしまい、現在では鉄・蒸気・機械の力を使って文明を発達させています。そんな中、失われたはずの力である魔法を持った少女・ティナが、なぜか存在していて。魔法の力を求めてる帝国に追われたりしながらも、ティナは自分に隠された秘密を追いつつ、自分がすべきことを見出していく――そんなお話です。とっても端折っていますけれど。
 ちょっと前にオススメされたPCゲームのインガノックでは、主人公の住む都市(この名前がインガノック)はある秘密実験の影響で不可思議な霧に包まれ、周囲の土地から隔絶されてしまいます。都市内では魔物のような敵が徘徊する地獄のような場所に変貌し、住民のからだも変異してしまうようになり、治療不可能な病気も蔓延。以前のような平和は失われ、治安は荒れてしまっています。また人々は10年前の記憶を失っており、己の過去も把握できず、生きる未来も見えないまま暮らしています。そんな中、主人公であるギーは生きることに絶望せず、人々に無償で治療行為を施す辻医者として活動し、できる限りの命をつなぎとめていた――そんなお話です。こちらもかなり端折っていますし、ちょっと内容に齟齬もありますけれど、ご容赦くださいませ。
 ともあれ2つの作品を、欠損とそこから生まれるもの、として考えますと。

▼FF6
【欠損】魔法という力
【発生】機械文明の発達、魔法を求めて侵略する帝国、魔法の力の秘密
【物語】魔法の力の秘密を追う中で、世界の命運をかけた戦いに巻き込まれていく
▼インガノック
【欠損】周囲都市との交流、10年前の記憶の喪失(住人ほぼすべて)、平穏、生きる希望
【発生】魔物たち、住民のからだの変異、奇病の蔓延、治安の悪化
【物語】絶望が当たり前の中で、主人公は希望を捨てずあきらめない。皆で失っている記憶がキーになり物語が展開する。

 ということになるのかしら。
 ひとつ(あるいは複数)設定された「欠損」が世界を形作り、そこからドラマが作られているんですよね。世界が、そこで暮らすキャラクターを作り、そのキャラクターたちが物語の原因となるものを起こしたり、生み出したり、触れたりしていく……。世界・人物・物語の3要素がうまく絡み合うからこそ、より魅力的な作品になる、説得力のある作品になる、……ということなのでしょうか。
 当たり前といえば、当たり前の事項なのかもしれません。けれどもこうした部分はやっぱり意識していないと「このお話は中世でなくても現代でもできるよね」とか「別に魔法なくてもお話進むよね」とか「別にスチームパンクに出てくる要素、必要ないよね」とか「なんでこうした世界観なのに、このキャラは考え方が現代人なの」とか矛盾や指摘が見つかっちゃいそう。気をつけなくちゃ……!
 ガンダムだって、あの巨大兵器だけではなくて、他にも宇宙移民、コロニー、ニュータイプなどがあるから、お話が絡み合って素敵な作品になっているのですし。3要素の絡み合いはすごくすごく大事で、ここの絡み合いはよーく考えておく必要があるのかも……しれません。
 
 ということで、詳細プロットの作成の合間に、改めて世界と欠損について考えていました
 私の作品の中心にあるのは「人形」の設定です。ガンダムで言えばモビルスーツにあたる設定でしょうか。ドラゴンボールで言えばサイヤ人、ワンピースで言えば悪魔の実ジョジョで言えばスタンド能力……といったところ。この人形の設定と存在を軸に、物語が構築されています。
 では、そうした人形の出てくる世界では、一体何が「欠損」しているのだろう? と改めて考えてみました。
 結論としては「命の尊さ」あるいは「個の尊さ」あたりでしょうか。ガンダムでいうモビルスーツとそれに乗るパイロットが、戦場で何体も散っていくように。ポケモンでいえば、個体値が低くく性格補正も一致しておらず使い物にならなくて、すぐに野に放たれてしまうように(普通にプレイしてる分にはそーゆーことは必要ないんですけれど、ちょっとやり込もうとするとそんな風に「厳選」が始まっちゃうのです)。 あるいは、ファイアーエムブレム(FE)の逆、つまりは敵側でしょうか。味方側は、名前と顔のあるキャラが何人もいて、お気に入りや強いユニットは大事にしながら戦うんですけれども(やられちゃったら復活は基本的にしないので)、敵側はほとんど顔の無いユニットで、それをどばどばと大量につぎ込んでくるんですね。ゲーム的に言えば、当たり前といえば当たり前なんですけれど。PL側が簡単に蹴散らしたりするための「雑兵」だったり、あるいはちょっと頭を捻ったりするための「障害」なのですから。
 あるいは、シューティングゲームでよくある「ボム」にも近いです。あれに、命と意思と個性と懐き度がある感じです。ボムは敵をやっつけたり、弾を回避したりするのに使用が必須な「使い捨ての道具」なのですけれど、それに意識とかがあったら――というテーマを奥深いところに意識していたのを、考察をしていて思い出しました。命の尊さの欠損……唯一の存在なのに、当たり前のように使われ、そして消えていく。命だけど武器。これは「人形」を使ってつくることになるかもしれない作品の、全体のテーマです。
 今回の作品特有の要素としては「個の尊さ」と気付けました。個の尊さは、自分自身における存在価値のようなもの……でしょうか。エヴァ碇シンジくんの「僕はここにいてもいいんだ!(最終回)」とか「綾波綾波だ! 綾波綾波しかいない!(エヴァ破)」にも近いかもしれません。
 ただこれらは作品を良くするための、いわば隠し味にも近いのかしら。たぶん、「これ読みたい!」というように宣伝をする目的なのであれば、表向きのテーマは変わってくるだと思います。広告宣伝とかには詳しくないので、ちょっと分からないんですけれど。
 ともあれ、そうして「欠損しているもの」を改めて意識しました。欠損が世界を作っていて、そこからキャラが生まれていて、そのキャラが起こす行為が物語になっている――そんな構成になるよう、気にしながら創っていく……という意識のもとで、再び頑張ってゆく次第です。
 あと、現状ですと詳細プロットは、

起:3チャプター11シーン
承:5チャプター18シーン
転:3チャプター10シーン
結:??? ←現在構築中
 ※1シーンは6000文字程度の想定

 という感じに製作が進んでおります。あとは、エンディングを含んだ最後の「結」だけですので、もう少しですね。
 こちらにUPされる皆さんの記事も刺激にしつつ、頑張ります……!