よみよみ。

 傭兵ピエールさんの『失恋探偵』の冒頭晒しについて。
 コメントにしては長くなっちゃったので、個別記事にてお返事させていただきます!
 おかっぱ≠ボブヘアー、と訴えるのはちょっと微笑ましかったですv / 主人公のセリフなのか、心の声としての呟きや独白なのか、判断が付きにくい部分があります。また、特に描写とあわせて変わった風に〝魅せている〟ようなセリフ、でもないセリフが「 」付きでないのは、どういった意図があるのかしらら思いました。一人称のお話ではありますけれど、セリフらしいセリフに「 」が付いていないと、少し違和感があったりました。描写とセリフが混ざって構成されているものもありますけれど……今回は何だかほとんどの主人公のセリフが「 」なしで、描写としてのセリフなのか実際に口にしているセリフなのかが、ぱっと見で判断できないのでちょっと変な感じでした。
 
 失恋探偵の存在が、最初はあんまり良いイメージを持たれなかった、のはリアルでいいと思います。「お節介」であることに変わりは無いですから、ひとによっては「余計なお世話!」でしょうしー。 / ただ。この失恋探偵って、あんまり評判が広まってしまっている、学校側からストップかかったりしないものでしょうか? 「他人の人間関係に首を突っ込む、という行為が生徒間で問題や軋轢を生じさせる原因になる」とか何とかで、反対する先生はいても、おかしくはないかなーと。あとあんまり知られちゃっていると探偵活動に支障きたさないかしらー、とかは思います。あまり有名になるとそれだけ効果の高い探偵行動ということが知られるのですし、探られるかもしれない、と事前の警戒を生んでしまいそう? 生徒間にだけちょっとだけ広がってる、知ってるのは顧問の先生だけ、のほうがこう「ひみつきち」っぽい感じは出せそうかなー、とは思ったり。 / そういった面とも向き合い(うまく掻い潜って)活動している、となると良い意味でのリアル感(土台のしっかりしたフィクション)としての雰囲気が出て、好感につながらないかしら、と思いました。
 
 イタルくん、の名前には反応しますね(笑) ただイタルくん、いくらああいった状況であっても「あいつには摩緒がどうしても必要なら、別れるべきか」というのは……うーん。普通は恋って独占欲が働くはずですから、ああはならないと思います。もし、自分の恋人のことが好きな別のひとが現れたら、逆に恋の炎は燃え上がるんじゃないかしら。それでも別れるということを考えた、のなら「自分と別れることで、彼女にメリットがないといけない」と思うのです。現状ですと、イタルくんと摩緒ちゃんが別れることで、二人は辛い想いしかしませんよね? メリットがあるのは、四本松くんだけ。彼の立場が例え過去の自分に被っているとしても、他人の幸せと恋人の幸せ、優先するなら後者を取ると思うのです。別れることで、例えば摩緒ちゃんは自分と付き合うために諦めていた夢にまた向かえるようにもなる、とかでしたらイタルくんの別れるという判断も、説得力が出てくると思うのですけれど。
 
 四本松くんが「彼女のことはまだあきらめられない」と言うのは、気持ちは分からないでもないです。ほんとは潔く身を引けると、いい男の子なんですけれどー。ただその後に「君とはライバル」という発言をしちゃうのは、ちょっと「今回の原因はあなたにもあるんだから、さすがにそれは虫がいいでしょ! ほんとに彼女が好きならそこで引っ込みなさい!」という感想は抱きますねー。あくまで読者からの共感は得られないキャラにする、というのでしたら現状の流れのままでもよいとは思いますけれども。でもひとによっては、こうした「諦めきれず、あくまでも恋愛の中に入ろうともがく」姿がリアルにうつって、共感を覚えたりはするのかしら……。
 
 まとめ。
 こちらの『失恋探偵』の魅力は何だろう、と思いました。「主人公と百瀬ちゃんの会話」はわりと淡白で、百瀬ちゃんの言葉に主人公が相づち打ちつつ、というだけ。二人の、異性を意識しない仲間っぽい雰囲気とか関係性は、良いものとは思いますけれども。百瀬ちゃんの魅力を引き出すには、たぶん障害をぶつける必要があると思うのです。二人がただ平和の中でやり取りをしていても、起伏がなく終わってしまいそうなので。失恋問題の解決、という障害と接することで彼女は刺激を受け、葛藤したり迷ったり怒ったりして、主人公を振り回すのだと思うのです。
 今回における障害はたぶん「依頼者と自分を重ね合わせ、共感してしまった」ことかなーと。探偵失格、あるいは仲介者失格というところ。でも現状ですと、そこまでは気にせず依頼は続行、としていて……実はそこまで思い悩まなかった感じ? 探偵活動自体も(あくまで本格推理ではないですから、簡単でいいのでしょうけれど)特別な障害もなく終わってしまっていて、物語の流れに起伏が無い感じ。
 うーん、そこに起伏をいれるなら。百瀬ちゃん、テンションが下がってしまうと活動が停止してしまうタイプにしておいて、そこを主人公が一生懸命慰めたり励ましたりして、なんとか頑張らせようと奮闘する。そうでないと自分ひとりでやることになるのだけど、それは到底主人公のタイプ的に無理なので――ということにしておけば、前述のように主人公が百瀬ちゃんに何とか頑張ってもらう、ということにも説得力ができますし。普段は彼女が先頭になってるけど、実はそれを支えてるのはお兄ちゃんである主人公のおかげであって、だから百瀬ちゃんは主人公のことを慕ってくれる――という理由付けにもなりますし。
 現状ですと、主人公も百瀬ちゃんも安定したキャラクターです。友達にするにはいい感じ。ただ、無難なキャラクターが多めですと作品の色が薄くなりがちになりますし、どちらかはもう少し「扱いにくいキャラ」にしちゃうのもまた、ひとつとは思うのでした。
 ――以上です! 何かのお役に立ってれば幸いです。でも、あくまで私個人の意見ですし、鵜呑みにしちゃいけませんですよ!