さて、問題点を洗い出していこう!

 みんな手加減してる感じの印象なので自分で自分をdisっていくぜ!!

 第一章、つまらん!
 みんな、つまらないものははっきりつまらないと言おうぜ!
 「序盤だからまだ様子見」とか甘い。
 面白い作品は序盤から面白いんだよぉぉぉぉっ!
(※異論は認める)

 さて、第一章、まず冒頭。 
 電車で強面の生徒を注意するエピソード。
 ここの意図は明かで

『主人公は日常生活から他人の不正を物怖じせず指摘する堅物生徒会長』という紹介

しかし、電車から降りて、男ヒロインと出会った途端顔真っ赤にして「どうしよう、ちゃんと喋れない」と落差を見せる

 ベッタベタなスタート。
 委員長キャラが私生活で不良を注意するエピソードはよくある話。
 けれど、これがあんまり面白くなってない。
 あるいは狂気が足りない。
 もし、哲学さんが普段のバトルものの展開だったら、相手は不良ではなく、そのまんまヤクザにして電車の中でタバコ吸ってるヤクザに対して「あら、ごめんなさい手が滑りましたわ」とか言って相手のタバコを掴んで頬に押しつけてヤクザに「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」とかさせてる。あるいはもう相手を問答無用でぶっ飛ばしてヒールで踏みつけながら「――我は神罰の代行者。不浄なるものに鉄槌を」とかさせてキャラクターの方向性にアクセルを踏ませるところなんだけど、バトルなし制限を自分にかけてしまったせいですんげぇ、印象の弱いエピソードになってしまってる。
 ヤクザにも平気で注意する、と地の文で言ってるんだから他校の不良ではなく、最初からヤクザ相手にメンチ切らせた方がよかった。これは後で変えよう。
 で、その後天戸くんと出会って顔真っ赤にして逃げるシークエンス。
 ここも恋愛ものだったらおなじみのエピソードだけど、全然上手く描けてない。
 なによりの問題は、天戸くんの魅力が描かれていないこと。
 ここの段階では、祈鈴ちゃんは自分の恋心を自覚してない。
 けれど、読者には分かってる訳で。ただ、ここにはその説得力をちゃんと読者に説明しないといけない。
 簡単に言えば、読者から見ても「やっべぇぇぇぇぇ! 天戸くんかわぇぇぇぇぇぇ! そりゃ、祈鈴ちゃんも惚れるわぁ」という積み重ねが足りない。




 そして、そんな積み重ねが足りないままに昼飯パート。
 いきなり半日経過してしまって、疲弊した祈鈴ちゃんだけ描かれてる。
 ただ、読者の感情動線を誘導するなら、ここは省略せず、きっちり、天戸くん相手にあたふたする祈鈴ちゃんのエピソードをもっと描写すべきだろう。
 前述の通り、「やっべぇぇぇぇぇ! 天戸くんかわぇぇぇぇぇぇ! そりゃ、祈鈴ちゃんも惚れるわぁ」という既成事実をまず作らないと、恋愛ものとして失敗してる――と哲学さんは考える。ヒロインの可愛さが大事だよ、やっぱり。
 第二に、天戸くんと同じく描写不足なのが、親友の象子ちゃん。
 彼女の性格や設定に関しては具体的なエピソードがなく、祈鈴ちゃんが地の文で言ってるだけ。これは悪手。
 これも先ほどの祈鈴ちゃんの描きと同じ問題で、「あの先輩、ヤクザ相手にも説教するんだよ」て言われるのと、目の前で具体的にヤクザの頬にタバコ押しつけて「Hail to you, in the Hell」(地獄へいらっしゃいませ)と微笑みかけるシーンが展開されるのでは、絶対に後者の方が説得力がある。
 つまり、象子ちゃんがこういう子なんだよ、と強調する具体的なエピソードがないままに話が進んでるのが問題。
 これがバトルものだったら、駅から降りた祈鈴ちゃんの前で恐ろしい身のこなしで街の不良を血祭りにしてるシーンを入れて、象子「今日もいい血の雨が降ってるね」祈鈴「まったくですわ。うふふふ」というシーンを入れていたかもしれない。(※この作品はそんなバトル展開ではないのでご安心ください)
 なんにしても、もっとケレン味のあるエッジの効いた描写で読者に「ほう、この象子ちゃんてのはなかなか面白い子だな」とか「カッコイイ女の子だなあ」というエピソードを入れるべきだろう。
 ここらへんは西尾維新先生とかが上手くて、化物語は、戦場ヶ原ひたぎだと初登場でいきなり口の中にホッチキスを突っ込んだり、「じゃあ戦争しましょう」とか、「そう言えばあなたには二人の妹さんがいたらしいわね」(家族構成を把握されているっ!)とか分かりやすくみせている。
 と、言う訳で、象子ちゃんと天戸游真くんのエピソードが足りないのが何よりも問題。あるいは、エピソードがなくても、読者を納得させることが出来たらそれでもいいのだけれど、あまり出来てないと哲学さんは見る。
 これを専門用語で「キャラが立ってない」といいます。
 誰だよこんな話書いたの……哲学さんに決まってるだろうがぁぁぁっ!!!このビチグソがァァァァ!!
(哲学さんがキャラを立たせるのに大抵暴力描写とか極端な変態描写に頼っていたのがよく分かる。それらを抜いたら平凡すぎてキャラが薄れているのは致命的と言えるだろう。)



 その上で、ラストシークエンス。
 主人公が相手役を好きだけど、話がこじれて「あんたなんか大嫌いっ!」と勘違いされるパート。
 これもラブコメの王道。王道故に、技量が問われるところ。
 実力のある人が描けばちゃんと面白くなるのだけれど、そうなってないのは哲学さんのせいだろう。
 このシーンは、祈鈴、游真、象子の謎三角関係が出来て、月9ドラマなら「あの日あの時あの場所でキミに出会えたのなら〜」とか主題歌が流れ出してドキドキの展開で「次回に続く!」となるべきところなのに、そうはなってない。
 結局、象子と游真、そして祈鈴の三人のキャラクターに読者ががっつり入っていけないのでせっかくの恋愛もの王道展開が死んでるのである。
 たとえるならば、日本刀をまともに持てない子がいきなり居合抜きを放つようなもの。失敗するわいっ!




 な訳で、第一章の問題はとともかく「キャラクターをしっかり立ててないこと」に尽きる。
 無論、別の問題もない訳ではないけど、まずはそれが一番の問題であると哲学さんは考える。キャラが立ってたら意外な展開がなくてもまあ、いけるのではないか、と哲学さんは思うのである。
 んでもって、この話で一番キャラが立ってるのは栗栖ちゃんだろう。
 ただ、この子オタクからしたらコロコロと相手を変えるビッチキャラなので嫌われるかもしれない。いやー。女の子は恋愛してなんぼだぜー、付き合ってる人間が二桁越えてる女の子もそれはそれで可愛いもんだぜー(笑)
 まあ、彼女は処女である祈鈴ちゃんとの対比キャラだからああならざるを得ないんだけどね。



 と、哲学さんなりに自己分析してみるが、どうですかねー。
「そんなことよりもここを改善しろよ!!」
 とか何かあればどうぞ。