ニンジャスレイヤーが超面白い
前からちょっと気になってたニンジャスレイヤー読んだ。
すごく面白い。
外国人の書いた日本という謎の国感が凄い。
日常使い慣れた言葉がもう「誤解」と「曲解」の連鎖によって訳分からんアンサンブルを奏でて濃密な味を引き出してる。
それでいて王道のストーリーでとてもカッコイイ。
なるほど。こんな表現もあるのねぇ。
翻訳した人は天才か。
どんな文章があるかというとたとえばこんな感じ。
ミニットマンは窓枠を乗り越え、電車の側面から上へよじ登った。トンネルの壁面に走行音がごうごうと反響し、風圧が襲いかかるが、ニンジャにとって、この程度の動作はウォームアップですらない。ミニットマンは隣の車輌上の人影を見据えた。ニンジャスレイヤーは腕組みして仁王立ちになっていた。
復讐と功名心、そして焦りに雲らされていたミニットマンの意識も、ここへ来てついに認めざるを得なかった。ーーニンジャスレイヤーはミニットマンの尾行に気づいていた、そして、こうして.....彼を待ち伏せたのだ!
「ドーモ、ミニットマン=サン。ニンジャスレイヤーです」風に乗って、ニンジャスレイヤーのアイサツが届く。ミニットマンは怒りに震える手を合わせ、アイサツを返した。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ミニットマンです」
ミスターとかじゃなくて、「ミニットマン=サン」て中途半端な日本語に吹く。
ちなみに場面は電車に乗ったニンジャスレイヤーを尾行していたミニットマンがニンジャスレイヤーの姿を見失い、敵が電車の上にあがってるのに気付いて上に登ってたら敵が仁王立ちしてるというバトル物ではたまらないシーン。
それとか、別のバトルシーン。
「地獄から戻ったぞ、ダークニンジャ=サン!」ニンジャスレイヤーは、得物を失いひるんだダークニンジャの頬に、禍々しい炎につつまれた右ストレートを叩き込んだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」よろけるダークニンジャに、今度は左ストレートを見舞う。「イヤーッ!」「グワーッ!」
そして再びの右ストレート。「イヤーッ!」「グワーッ!」左ストレート。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
圧倒的であった。ダークニンジャは体制を立て直そうともがいた。ニンジャスレイヤーは身を沈め、跳躍の予備動作をとった。その構えはジュージツのそれではない。考古学者であれば、あるいはその構えを指摘する事ができたやも知れぬ。その動きは、太古の暗殺術「チャドー」の構えであった!
「イイイヤアーッ!」ニンジャスレイヤーが斜めに跳躍した。きりもみ状に回転しながら両脚をカマのように振り、敵の首を狩る血も涙もない暗殺技「タツマキケン」が、ダークニンジャを直撃した。「ヤラレター!」断末魔の絶叫とともに、ダークニンジャの体はハンマー投げのハンマーのように吹っ飛んだ。
まさか、「茶道」が太古の暗殺拳だったとは哲学さん初耳だわ(笑)
こう一昔前、こういう文章で携帯小説が叩かれたことを思い出すけど、ここまで突き抜けると味になってる。
うらやましい。日本語というものを知ってるが故にここまで別のアングルで「日本」を描くのは日本人には出来ない(笑)
「イヤーッ!」「グワーッ!」も字にしたら間抜けな感じだけど、実際のバトルを極端に単純化したらこんなもんだと思う。というか、この文章だけでバトルシーンが脳裏に描けてしまう哲学さんが調教されすぎな気もするけど。いや、でも味があるなぁ。
実際にこのバトルをちゃんと小説で書くなら、もっと「残心」を意識して書くね、哲学さんは。想像するなら、仮面ライダーで岡元次郎さんがスーツアクターしてそうなキャラがやりそうな動き。(分かりづらっ!)
なんにしても、ふーむ、こんなものもあるんだねー、と感心した話。