ネタが被った時にどうするか
昨日の日記にこんなコメントがあったので取り上げさせて頂きます。
(※イヤなら削除しますので申し出てくださいな)
突然で申し訳ありませんが相談させてください。
新人賞に出す作品で、ストーリーが既存の有名作品と被ってしまい悩んでいます。被っている部分は、物語の発端と主人公の目的です。
気にせず書ききってしまう方が良いのか、おもしろさを捨ててでも被りを解消する方が良いのか悩んでいます。
こんな数年経っても全然ラノベ新人賞取れてないどころか、最近はスランプで長編一つまともに書けてない哲学さんが応えてもいいのか謎ですが、私見でよければお答えしましょう。
ずばり、気にしなくていいです。
て、言っても気になるんでしょうね。
世の中には似たような話なんて幾らでもあります。
90年代のラノベは平凡な男主人公が戦闘能力の高い美少女ヒロインと出会って一緒に戦ったりふれ合っていく話多かったですし、あるいは押しかけ女房とか、主人公が狙われてるので美少女がボディーガードになるとか、そう言う話は多かったです。
某所では「ゲームの世界に入り込んでしまう」とか「前世の記憶を持ったまま別世界に転生する」という話が大流行して沢山書かれています。
なので、似たような話であることは言うほど気にすることではないでしょう。
ただ、勿論そのままやるだけだと埋没してしまう可能性も十二分にあります。
ふと思ったのが、『ヒカルの碁』と『デスノート』。
これは大筋のプロットが全く一緒の例ですね。
知らない人の為に軽く説明すると
あらすじは以下の通りです。
○ヒカルの碁
平凡な少年進藤ヒカルはとある囲碁盤に触れたことにより、平安時代の天才棋士「藤原佐為」の幽霊にとりつかれる。
彼は藤原佐為の導きにより、囲碁を知っていき、「神の一手」を目指すことになる。
○デスノート
一般人の天才少年、夜神月(ヤガミ・ライト)はある日「人名を書いたら実際にその人物が死ぬ」という「デスノート」を拾うことにより、死神リュークにとりつかれる。
彼の暇つぶしに付き合い、夜神月はデスノートを利用して「新世界の神」を目指すことになる。
わざと似せて書きましたけど、要はどちらも「人外の存在にとりつかれた少年の物語」なのですね。
とはいえ、多くの人は「同じあらすじ」とは思いませんよね。
それは根本は一緒でも細部が違うから。
ヒカルの碁はスポーツもので、デスノートは……えーと、ミステリーもどき?
とりつくのも平安時代の幽霊と死神。
ヒカルも後に天才児と判明しますが、出た当初は平凡な少年です。が、夜神月は非凡な天才少年という設定です。
別にデスノートに限らず、ヒカルの碁の後に幽霊とかにとりつかれた少年少女の話は一時期多く出てたりしました。
じゃあデスノートが元祖かと言えばそうではなく、例えば『ウルトラマン』も宇宙人にとりつかれる話ですし、まあ昔からある類型の一つ……と言うことは出来ると思います。
が、たぶん質問者の方はそんなことくらいなら気にしないでしょうね。
質問してくるってことは、細部も似てるので困っているのでしょう。
『ヒカルの碁』で例えると「ある日平凡な少年が昔死んだ江戸時代の将棋士の幽霊に取り憑かれて名人を目指す」という小説を新人賞に送ったら八割方の人が「パクリだ」と思うかもしれません。
けれども、どうしても書きたいのなら、ぱっと思いつく解決策は以下の3つです。
1.「ここだけは違う」という強烈なアピールポイントを序盤に作っておく
序盤のストーリーラインがほぼ一緒だとしても、「ここは違う」とはっきりと差別化出来る何かを置きます。
やや反則技ですが、例えば「男の娘が死んだ江戸時代の将棋士の幽霊に取り憑かれて名人を目指す」ならみんな「ストーリーラインは一緒だけど、ちょっとこれは違うな」、て思いますよね?
別に男の娘に拘らず、「メイドさんが幽霊に取り憑かれて名人を目指す」とか「幽霊に取り憑かれて猫耳の生えた美少女が将棋士を目指す」でもいいです。
あるいは、「平凡な少年が江戸時代の将棋士100人にとりつかれてしまい、名人を目指すことに」だったら「アイエエエ!? 百人? 百人ナンデ!?」と読者がビビること間違い無しです。
実は仮面ライダー電王の設定のアレンジですけど(笑)
なんにしても、インパクトのある出オチ設定を付け加えると9割方同じ設定でもみんなだいたい許してくれると思います(コラ
2.開き直ってパロディっぽく演出する。
コメディなら「どっかで聞いた話だな」とか「お前はウルトラマンか」とかキャラクターにツッコミを入れさせる……とかしますね。この場合は逆に積極的に似せた方が歓迎されます。
3.情報の出し方を変える。似てない設定から先に描写する
これはどういうことかというと、設定の出し方を変えるだけです。
難しいと思うなら、単純に時系列を変えればいいです。
要は、似てる部分は先に描写せず、物語中盤に回想シーンとして出す。
「主人公が戦い続ける。→中盤でそれは何故か、となって、回想シーンで彼が戦う目的やきっかけがアカされる」……みたいな。
描写される順番が違うだけでも印象は大分変わります。
上の例で行けば「とある少年がある日突然将棋の名人を目指すために必死に勉強を始める。彼は初心者のはずがメキメキと頭角を現し、始めて一週間のはずなのにプロ棋士を倒してしまう。彼が名人を目指すには理由があった。なんと、彼は江戸時代の将棋士の幽霊に取り憑かれていたのです」ていう語り口ならなんとなく「設定はヒカルの碁によく似てるけど、ちょっと違うな」て気になりますよね? え? ダメ?
まあこれも1と同じで、導入部にともかく「ここは違うぞ」とアピールを先にやっておくことが大事ですね。
これらのテクニックを利用して見てはいかがでしょうか。
以上、永い間ワナビやってるけど全然芽のでない哲学さんからの意見でした。