ライトノベルを盛り上げる「中二的思想」という「毒」

ここ数日ラノベに対して抱いている雑感。
ラノベが持つ「中二的思想」
ラノベ・・・特に売れている作品がすべからく持っているのがコレだと思います。
例えば、涼宮ハルヒシリーズ
主人公であるキョンはどんなに不思議で面白い事があっても、「退屈な日常に回帰」しようとする思想を持っています。
これは一種の中二思想だと思います。なぜなら、自分が与えられている状況に対して斜に構えているからです。
同時にヒロインであるハルヒも「退屈な日常がある日突然変化」しないかという、現状に対して斜に構えているある種の中二思想を持っています。
戯言シリーズなんかも主人公であるいーちゃんや、その周りのキャラたちが現実に対して斜に構えている中二思想を持ち合わせていますね。
上に挙げた物以外にもたくさんあるでしょう

・テーマとしての「中二」
キャラが持っている思想より先に前提のテーマとして「中二」があります。
それは作品全体を貫くものとなっており、プロットに深く結びついています。
例えば「空から女の子が落ちて来る」「持てない冴えない頭が悪い主人公が異世界にワープしてモテモテ」など
これは作者の持つ中二思想で、これに基づくストーリー展開と、キャラの思想が融合して「毒」となります。

・「毒」
では「毒」とは何なのかというと、それは読者を引っ張り、同時に嫌悪感を抱かせるものです。
キャラの持つ独善的な思想と、それを肯定するかのようなストーリー展開。
それら二つは読者の共感を呼び、同時に、一定の読者をイライラさせます。しかし、それを否定するものが現われた時、物語はピークに達します。

・思想的対立
そして、その否定と肯定がぶつかるとき――キャラ同士の思想が衝突を禁じえないとき――それは強毒となって読者を冒します。
上に挙げた涼宮ハルヒシリーズなんかでもそうですが、キョンハルヒのもつ「中二思想」は対立を生むものであり、それを両者が首尾一貫して保持し続ける以上、何か事が起こったときに衝突を禁じえません。そして、物語の展開がどちらの思想を支持かによってその物語の毒性が決定されます。
そして、それに共感するにせよ、否定するにせよ読者に強い感情を想起させ、物語は面白くなります。

・思想と言う「毒」
なので、物語における思想と言うのは読者にとっては毒であり、同時にトリにもなりえます。
しかし、それがキャラの持つ思想なのか、作者の持つ思想であるのか、はっきりさせないとその物語における毒性は違ってきます。
たぶん、キャラの持つ思想ではなく、作者の持つ思想を前面に押し出してきたとき読者は萎えます。
なので、思想はキャラに押し出させ、作者の思想は押し出さなくする技巧が必要になるでしょう。

以上です。思想がゲシュタルト崩壊した。