実験

冒頭をでっち上げたので感想を頂けたらと思います。
 特別、という言葉に強く惹きつけられていたのは何時のことだっただろうか。
 その当時テレビのニュース番組を食い入るように見ていたのは、平穏の裡に不穏が影を潜めていたからだろう。
 その殺人事件の犯人はどこにでも居るような、普通の、しがない市井の人間だった。
 ――誰でもその胸中に狂気を抱えている。
 要は日常と非日常の境目を一歩だけ踏み出す≪何か≫があればよいのだ。
 それだけで私は人と違った特別な存在になれるのだ。
 そう願ってやまなかった。

「それは一種の病のようなものだよ」
 彼は言う。そのエキゾチックな顔立ちに、少々下品ともとれる笑みを浮かべながら。
「でも、俺は何処も悪くなんてなかったぞ?」
「心さ」
「心か」
 確かに精神的が冒されて、いや、侵されているような気がしていた。かもしれない。
「日常はごく当たり前のものじゃない。それ自体が奇跡のようなものだよ」
「つまりはその狂気こそが当たり前だと言いたいのか?」
「まあ、端的に言えばそうかもな」
 彼はそれっきりこの話題に興味を無くしたのか、嘆息して、窓の外に目を遣った。
「僕たちが見ている世界なんて言うのはごく狭い。意識できない――つまりは見ていない――世界なんてものは無いのと同じさ。だから
本来は軽々しく『世界』なんて口にするべきじゃないんだ。僕たちが見ているのは、なんて言えば良いかな、そう、『セカイ』とでも呼
ぶべきだ」
 そういうと、それっきり口を閉ざしてしまった。

 俺の見ている世界は狭すぎる。彼ではないが、違う呼称をあてがって、認識を変えるべきなのかもしれない。
 例えば彼女が吸血鬼だったとしても。
 例えばあいつが宇宙人だっとしもて。
 例えば俺が人っ子一人殺ってしまったとしても。
 そうだな、それじゃあ神に祈るとでもしようか。
 目の前の死体に黙祷を捧げた。
 だってこれが俺にとっての日常で『セカイ』なのだから。

こういうのどうよ?って感じで