即興小説その14

 毎日短編書いて小説力をあげようキャンペーンその14。

(http://d.hatena.ne.jp/kaien+B/20130815/p1)

○今回のプロット
 お題メーカーより。

哲学は「太陽」「息」「正義の目的」を使って創作するんだ!ジャンルは「指定なし」だよ!頑張ってね! #sandaibanashi http://shindanmaker.com/58531

 正義の目的。
 なんて面白いお題を出してくるんだ。
 名前に哲学とかついてる哲学さんからしたら、この手の話題は大好物だよ!
 あーでも、SFとファンタジー封印したよ! こういうお題こそSFのイデオロギーで語るのが面白いのに!(※絶対枚数足りない。)
 正義の目的を語るも、論破されて息してないぜこいつ→だが、この太陽がある限り、俺はまだ正義に走る、的な話を書くか。
 なにその決意表明。
 起承転結の転がないね。
 太陽が転にならないと。
 ふむ。
 まあ、書く。


「まさに百合こそ正義!
 百合こそがジャスティス!
 汚らわしい男の存在なんていらなかったのよ!」
 メガネを輝かせて鼻息荒く語る友人を前にして私はため息をついた。
「……顔近い」
「おっとごめんごめん。うふふふ。うひひ、おひへへへへ……凛々ちんはかわいいからなぁ。へへへ」
「ごめん、これ以上友情を壊したくなければよだれを拭いて二歩ほど後ろに下がってくれないかしら」
「はいはいごめんよぉーう!」
 びしっ、と何故か敬礼をしながら後ろに下がる友人。
 黙っていれば知的なメガネ美人で通じそうなものを、どうしてこうなったのか。
「なんにしても、気付いたのよ。
 百合が世界を救うって。 
 あんな憎たらしい男どもなんていない方がいいのよ。
 だってそうでしょ?
 あいつら戦争とセックスのことか考えてないし。マジ野蛮じゃない?
 あんなの正義じゃないわ。
 だからもう、女だけの世界になればいい。
 百合だけでゆりんゆりんな世界になってしまえばいいいっ!」
「……それ、世界滅ぶから」
 思わず発したツッコミに彼女は顔をしかめる。
「え? なんで? ジャスティスは世界を救うに決まってるじゃない」
「……女だけだったら子ども居なくなって世界滅ぶじゃん」
がしゃぁん
 いつの間にか持ってたコップを落として愕然とする友人。
「そんな……馬鹿な」
「そんな簡単なことになんで気付いてないのよ」
 半目で私は相手を睨む。
「大体、男がいないと、可愛い女の子も生まれてこないでしょ?」
「くっ……可愛い女の子を産む精子だけ残して男はすべて滅べばいい」
 ――本当に、この子何言ってるんだろう。
「なんてこった……私の正義はココまでなの?。
 悪がはびこる様な世界が正しい姿だとでも言うの?。
 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ教えてくれぇぇぇぇぇぇぇ神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 この子楽しそうねぇ。
 人生が実に面白そう。
 とりあえず、舞台女優にでもなればいいんじゃないだろうか。
「ああ、太陽は失われた。世界は闇に閉ざされた。
 百合だけにならない世界なんて……なんになるっ!」
 何度目かになるため息をつく。
「……あんた、私がいるだけじゃ不満なの?」
「滅相もない! 私は凛々ちゃんがいるだけで幸せよ!!」
 現金な反応ね。
 ……いや、別にこの子の恋人になったつもりはないけれど。
 あくまで友人のままなんだけれど。
 少なくとも、それ以上進むつもりはないのだけれど。
「……あ! でも最近はIPS細胞というもので子どもが出来るらしいわ!」
 ぱぁぁっと太陽みたいに顔を輝かせる友人。
「なにそれ。男嫌いなのに、子どもは欲しいの?」
「うん、凛々ちゃんの子ども欲しい!!」
「………………」
 即答とか反則よね。
「そんな方法で子ども作るなんて、そもそも同性愛なんて、正義どころか邪道がいいところよ」
「別に凛々ちゃんと一緒なら悪堕ちしても問題はないんだけど」
 ま、この子ならそう言うか。
「まったくぶれないわね」
「それが私の正義だもの。
 愛してるわ、凛々ちゃん」
「別に。私はそうでもないわ」
「そんなクールなところも好き」
 私は肩をすくめた。
 正義だなんだというけれど、結局は私といるのが目的じゃないの。
 言葉が大げさすぎる。
「あっそ。あんたの正義はよく分からないけど――」
 思わず笑みを漏らす。
「あんたと一緒に居たいって気持ちは同じかな」
 途端、私の相棒は鼻血を吹き出して倒れた。
 ……リップサービスが過ぎたらしい。
 本当に、一緒に居て飽きない奴だ。
 私は、これからもこの相棒と一緒に居続けるのだろう。
 彼女のことを介抱しながら、そんなことを思った。




 しまった、友人の名前を出すタイミングを逃した。
 寝ます。