単純なセカイ系の作り方

 セカイ系の定義は色々あるんだけど、単純な話、世界を救う話だ。
 とは言え、世界を救うなんてなかなか簡単にできる事じゃない。
 世界には飢餓や貧困、戦争など様々な問題があり、それらは人類が数千年かけても未だに解決出来てない問題ばかりだからだ。
 じゃあどうするのか。
 答えは、セカイ系ではそれらの問題は救わない、ということだ。
 ではどういうことかというと、メソッドとしては簡単でそれらの今世界が抱えてる問題以上の『世界の危機』が発生して、それを救うのがセカイ系



 例えば、

主人公の住んでる街に何故かブラックホールが発生しそうだ!

ブラックホールが現れたら世界が滅びる

主人公はなんとかしてブラックホール防いだぜ!

世界は救われた。(※飢餓や貧困・戦争などの現実にある他の問題は放置)

 と成る訳だ。
 で、ここでよくあることが、世界の危機に対して、対処するのが個人であることが多い。
 組織があったとしても、小規模なものが多く、たとえば世界を実際に動かしている国家や宗教組織などが主体として出て来るのは希である。
 単純に図式化すれば、日本だと

個人→町内会→町役場→市役場→県役場→日本政府(→国際連盟?)→地球(世界)

 な感じで個人と世界の間には大きく隔たりがあるのだ。
 世界規模の危機が起きたら普通は上の図式の通り、国家間で話し合いがもたれて、政府が決定を下し、各県に通達して、それを市町村が住民に伝えて、対策が練られ、自衛隊が出動し、と様々な組織が動くことになるだろう。
 が、セカイ系の場合は、そういう中間組織がばっさりと省略される。出てきても住民の避難を誘導するとか、あるいは原因が分からなくて政府がオタオタして終了とか。
 何故そう言うことになるかというと、多くの場合、その理由付けは「一般人に知られてない別組織の話だから」的なことが多い。



 たとえば

○魔法使い
現代の日本には実は魔法使いの秘密組織が居て、一般人には知られてない。極秘裏に何かの封印を守ってた。
○超能力者
一般人には秘密で謎の組織が最強のサイキッカーを育成していた。あるいは、隕石を呼び寄せてたりする。
陰陽師
一般人に知られてないが、日本の地脈を守ってて、色々あって地脈が乱れて日本が沈没しそう。
○妖怪系
 一般人には見えないが実はこの世界には妖怪とか居ます。でも、ヤバイ妖怪が目覚めそう。
○時間能力者系
 未来人が過去を改変して世界を滅ぼそうとしている。もちろん、未来人の話なので現代人はほとんど知らない。
○宇宙人系
 実は一般人に知られてないが宇宙人は既に地球に住んでる。でも、過激派の宇宙人がテロで地球を滅ぼそうとしている
○ロボ系
 実は秘密裏にロボットが開発されていた。その中でも世界を滅ぼす力を持つロボットが開発されそう。

 とかあって、それらは政府とか大組織が動く前に個人によって解決されることが多い。
 あるいは、政府(一般人)が自衛隊を動員してもその原因を取り除くことは出来ず、主人公の超常的な力でしか解決出来ない、という風に話運びが行われることが多い。



 で、ラノベセカイ系で多いのは、その世界の危機の解決にヒロインが絡む場合だ。
 たとえば、

○ヒロインを生け贄にしないと世界が救われない。
(あるいは、ヒロインは世界を救う力があるが、ヒロインが力を使う度に色々と代償を払い続ける。)
○世界を救えるのはヒロインだけで、ヒロインは孤独な戦いを強いられ続けている。
○世界を救ったらヒロインと離ればなれになる
○ヒロインがへそを曲げたら世界が崩壊

 てな感じ。
 それで、「世界を救うか、ヒロインを救うか」と言う二者択一を迫られたり、「ヒロインを救う=世界を救う」になったりする。




 と言うことを踏まえた上でセカイ系の話を簡単に書こうとするならプロットは

1.世界の危機が起きます
   ↓
2.その危機にはヒロインが関わってます
   ↓
3.主人公はヒロインを通して世界の危機に巻き込まれます
   ↓
4.主人公が頑張ります。(多くの場合、主人公には秘められた才能があったり、都合よくこの事件を解決するのに必要な技能があったり、選ばれし者だったりする)
   ↓
5.世界の危機が救われます

 の流れになることが多い。



 では実際に作ってみよう!

起.主人公は何故かキュウリを美味しい酢漬けにするという超能力を持っていた。そんな能力を持てあましていたある日、旅行先のため池で河童の女の子と知り合う。
承.主人公は実は古代種である河童が地下世界に住んでおり、現代で復権するために古代兵器の復活をもくろんでいたことを知らされる。あとヒロインは河童の巫女。古代の皇族の血を引いている。
転.ヒロインの河童を生け贄にして古代兵器が復活し、近隣の街が蹂躙されていく。古代種である河童がついに世界進出へとのりだす。ヒロインは古代兵器の心臓部に埋め込まれており、古代兵器を破壊しないと助けられない。だがそこで、主人公は古代兵器が実は瓜科キュウリ属に属する生物兵器であることに気付き、主人公の超能力を発揮して、古代兵器を美味しい酢漬けに作り替える。
結.かくて平和は守られた。河童達は地下世界へと帰って行く。主人公はヒロインと再会の約束をして別れる。いつか河童と人類が共存する世界を夢見て。

 ……てな感じで簡単に作ることが出来る。
 と言っても、今例題で作った話は平凡すぎるからもっとアレンジが必要だと思うけど。
 まー、ラノベセカイ系はこういう感じで作ることは出来なくもない……かな。







 と、言う訳でプロットがあんまし進まないので備忘録的に創作メモ。
 単純に起承転結を結ぶのはそれほど難しくなくて、ひねったことをしようとして失敗してる感があるなぁ。
 とりあえず、色々考え直そう。