執筆ペースを上げるには?

小説を書いておられる方ならば、100人中99人は「もっと早く書けたらなあ」、「執筆ペースが上がればなあ」とお思いでしょう。私もその一人です。
そんな方に紹介したい記事があります。名古屋大学文学部の機関誌『メタプティヒアカ』第四号(http://www.lit.nagoya-u.ac.jp/education/fieldworker/fieldworker05/post-3/)の金山弥平教授の「満足できるFDに向けて―第34回POD年次大会に出席して」という記事です。その中の「7.Publish & Flourish」という節に興味深い記述があります。

⑴毎日書くわけでない,しかし書くときには長時間書く人たち,⑵毎日書いて,書いた時間を記録する人たち,⑶毎日書いて,書いた時間を記録し,さらに記録した時間を他の人に報告することにしている人たちについて,彼らが1年間で産出した頁数を比較したところ,グループ⑴は平均17頁,⑵は64頁,⑶は157頁であったというので
す。

中略

 また研究初日から書くことが大切です。われわれはとかく文献を十分に調べてから書こうとします。しかしすべての文献を読みつくすことは不可能です。そのような試みをするよりは,まず自分が感じ,知っていることから出発し,書き,そしてそれから読むことです。また書く過程で「穴」があいていても,「この引用箇所を調べること   」などの形で,後に埋めるべきものとしてそのままにしておくことです。とにかく書けば,それによって思考結果が保存され,検討・見直しの可能性が開かれます。

私を含めた多くの人は日々の仕事や学校の勉強等々に追われていて、休日などにまとめて執筆時間を取るなどする「毎日書くわけでない,しかし書くときには長時間書く人たち」でしょうし、毎日書くのは面倒で大変なものです。朝やるにしても眠たいし、仕事で疲れて帰ったり、学校で嫌なことがあったり、そういう時にはもう何もやりたくないと思うでしょう。しかし、上記のページ数の差は驚くべきものです。(1)に対して(2)はそのおよそ4倍、(3)にいたっては9倍です。これを捨て置くのはMOTTAINAIです。これは論文の話ですが、多分小説にも応用可能でしょう。
ちなみに私自身数日前から毎日ちょっとづつ書くのをはじめておりますが、感じとしてだらだら長時間書くよりは密度の濃い執筆ができているように思えます。まあ通販番組の「使用者の感想」みたいなものですが。
そういうわけで、執筆のペースを上げたい方はものの試しにやってみてはいかがでしょうか。最近放送した宇宙兄弟で「人生は短いんだ」という台詞がありましたが、その短い人生に多くのことをなす一助になれば幸いです。





ああ、そうそう、金山弥平教授からお話を聞く機会があったのですが、これを自分が指導する学生にやらせたら全員が途中でリタイアしたそうです。