即興小説その2

 と、言う訳で小説力をあげようぜ! と毎日短編を書いていくことにしました!
(http://d.hatena.ne.jp/kaien+B/20130815/p1)
 何事も練習やでー。
 という訳で今から書くでー




(結局、30分で間に合わず、中途半端なところで話が途切れてます。残念)



「いやー、なんて青空だろう。気持ちいい。でも、お前は死ね」



 かくて二十年の月日が流れた。
「月日が経つってあっという間よねー」
 突然押しかけてきた友人の言葉に俺はため息をついた。
 勝手知ったる我が家と言わんばかりに下着姿で居間で寝転がり、テレビを見ている。
「……お前さあ」
 俺はため息と共に言葉を探す。
 彼女とのつきあいはもう……それこそ二十年を超える。いい加減、俺も我慢の限界だ。
「お盆って、死者のためのものじゃないんだぞ」
「え? マジで?」
 と、興味を引いたのも一瞬のこと。すぐさまごろん、と体を転がし、テレビに向き直る。
「いやー、でも最近のテレビってホント、薄型よね? ブラウン管だった私たちの時代とは大違い」
「だから……」
 俺は息を吸い、意を決して叫んだ。
「毎年毎年お盆の度に俺の家にやってきてゴロゴロしてんじゃねーぞこのクソ幽霊がっ!!!
 なんで実家じゃなくて高校の時に一回だけ出会っただけのクラスメイトの家に来てんだよ、この馬鹿!!」
 俺の至極当然の質問に、二十年来の友人――高校時代のクラスメイトの幽霊はえー、と不満げな声を漏らす。
「んだってー、私は親と仲悪かったしー、今更帰る場所でもないしー。
 ていうか、お盆なら別に来てもいーじゃんいーじゃんー」
「ダメだ。お盆てのは、死者のための祭りじゃない。生きてる人間が、死者のことをちょっと思い出して昔の思い出に浸りつつ、新しい明日への糧とするものなんだ。
 間違っても、毎年はた迷惑な幽霊が親戚感覚で家にやってきてゴロゴロしていくもんじゃねーよ」
「うわ、大人みたい」
「大人だよ。お前と違ってな。もう三十六だ」
 それこそ、自分の娘をしかるような気分だ。
 が。
「三六歳……独身でしょ? 非モテで、フリーターで、部屋散らかしまくりの」
「ぐっ」
 痛いところを突かれて黙り込む。
「大体、毎年私が掃除しに来ないといっつも部屋が汚いままなんだから。そんなんじゃお嫁さん貰えないよ?」
「うっせー、そこはもう諦めてる」
「えー! うわー、寂しい人生ね。いっそこっち来ない?」
 女幽霊の言葉に俺は手をぱたぱたとふって拒絶する。
「バーカ。簡単に生者を死に誘うんじゃない。まったく未練がましい奴」
「いいじゃない。織り姫と彦星さまみたいで」
 確かに状況は似て無くもないが、あんな遠距離恋愛がよく続くものだ。
「まー、織り姫みたいな絶世の美女なら毎年会うのが楽しみかもしれんが」
「あー、男からしたらそう見えるんでしょうね」
「ん?」
「あの人、普段はダサメガネにダサジャージで家で寝っ転がってるよ。三段腹だし」
「なん……だと……」
「七夕になる一ヶ月前くらいになると毎日運動を始めてダイエットをして、お化粧するようになって、七夕には完璧な美人になるってわけ」
 ……どこのコスプレイヤーさんだよ。
 コスプレ会場ですんごい美人でも、普段は冴えないOLみたいなのやめてくれ。
「じゃ、お前も普段はふとってんのか?」
「馬鹿ね。私は人生で一番綺麗な時期に死んだから、そのままよ! 永遠に美少女のままよ!」
 残念ながら、言うほど美少女とは言えない。確かに出会った時は学年で一番の美少女かと思ってたけど、今となってはエロDVDの女優に劣る。むしろ、性癖が若い時と変化して、高校生くらいだと子ども過ぎて物足りなく感じるくらいだ。月日とは残酷なものだ。
 ――ま、口には出さないけどな。
「永遠の美少女って言うけど……お前弓道やってたんだよな?」
「そうだけど?」
「胸当てのせいか、お前左乳だけちょっと小さいぞ。左右の乳のバランスが悪い」
「え? 嘘っ?! なにその親父臭いコメント」
「俺の三十六年の人生を舐めるなよ。伊達に毎年お前に押しかけられてない」
 俺の指摘にかぁぁっと顔を真っ赤にする彼女。
「いやぁぁぁ、なんてこと!? 死にたいっ! 永遠にこのままなんて!」
「だから、もう死んでるだろ」
 頭を抱えるこのお馬鹿な幽霊に俺は遂に言うべき言葉をかける。
「ところで、お前、なんで死んだんだ?」
 あの日、家出してきた彼女と出会った。始業式に家出とは豪快だな、と思いつつ、彼女を我が屋に連れて行き――近くのスーパーに親と買い物をして帰ってきたら殺されていた。
 意味が分からない。
「それは……なんでだっけ? 誰かに殺されたんだろうけど、よく覚えてないのよね」
 人には思い出したくないこともあるだろう。そんなことを思って毎年深く追及をしてこなかったが、ここらでこの関係をいい加減清算したい。そのためにはなんとしても彼女に成仏して貰わねばならない。
「いいのか? このままだとお前はこの先も永遠に左右の乳の大きさが違うままだぞ?」
「……そんな言い方されるとイヤだなぁ。まーでも、このままでいいよ」
「どうして?」
「だってキミのことが好きだもの。キミがこっちに来るまではまだこのままでいい」
 俺はため息をついた。
「……ガキが色気づきやがって」
「最初に色気づいたのはあんたでしょ。そうでなきゃ、知らない女の子を家に連れて帰らないでしょ」
「…………あーはいはい。下心ありましたよ、ええ、すごくね。今だから言うけど、お前に手を握られて助けてって言われただけで恋に落ちてましたよ!」
 でも、このままじゃダメだ。いい加減、この関係は終わらせるべきだ。
 毎年、こんな下着姿で家を歩き回る女子高生の幽霊に押しかけられてはオチオチ結婚も出来ない。いや、結婚は諦めてるけど。
 ……………………まあ、いいか。
 結局、毎年この結論だ。
「めんどくさい。今年はいいけど、もう来年は来るなよ」
「えーなにそれ? ツンデレ?」
「ちげーよ」
「じゃあなによ?」
「諦めだよ」




 すいません、時間切れ。
 ていうか、正確には「いやぁぁぁ、なんてこと!? 死にたいっ! 永遠にこのままなんて!」、のところで30分経ってました。
 いかん、いつもの調子だと30分以内に書き上げるのかなり難しい!!!
 一時間もあればなんとかオチをつけれそうだったのに……すごく半端なものに!!
 最初の「でも、お前は死ね」の殺された件についてここから回答編を出してくるところなのに、酷い。
 もう少しネタの回転速度あげないとダメですね。
 むー、この調子で明日からやっていけるのか。
 まあ、初日は残念ながら失敗作でした――という感じで記録だけ残しておく。
 昔の同級生の美少女の幽霊がお盆に毎年やってきては入り浸るシチュエーションコメディをもっと書きたかった……無念。