即興小説その5

 毎日短編書いて小説力をあげようキャンペーンその5。

(http://d.hatena.ne.jp/kaien+B/20130815/p1)

 「つづく」を解禁することにしました。
 あまりも消化不良なら次の日にオチを回すことを自分に許します。(オイ)
 完成度の低い物を連発するのもあれですからね。



「いい男、いないね」
 テーブルを挟んで対面に座る友人の言葉に私はため息をついた。
「どうかしら。私たちが知らないだけでしょ? 世の中にはきっといい男もいるわ」
「あんたって意外とロマンチストよねー」
「確率の話よ。いい男は地球上にいる。でも、私たちの目の前に現れるかどうかは別って話」
 私の投げやりな言葉に彼女は少し考えた後、結局いい返しを思いつかなかったらしく、拗ねたようにストローに口をつけた。彼女は頭がよくないのだ。その代わり、チューチューとストローを吸うその姿は実に可愛い。同性の私から見てもうらやましい。
 彼女は三年連続で校内の美少女ランキングの一位を取ったとか男子の間で噂となっている。まあ、それだけの実力はあるだろう。ただ、三年経っても彼女は高校一年生なのはちょっと問題だと思うけれど。
「しのっちてさ。見た目はいいんだから。引く手あまたでしょ?」
「ダメ。変な奴しかよってこない。私が何したって言うのよ」
 留年したでしょ。しかも二回も。
 言ったら殴られるので言わないけれど。
「見た目がよすぎるのも考えものね。どうしてもそっちばかり見てしまう」
 友人は確かに校内でも指折りの美少女だ。
 でも、さすがに二回も留年している女にそうそう手を出す勇気のある人間もいまい。そうなると、どうしても変な奴らばかり吸い寄せられても仕方ない。
「しのっちも見た目以外でいいところあるんだけどねー」
「残念よ。私の良さが分かる奴がいないなんて」
 ジュースを飲み干し、彼女は自分の座席でそのまま猫のように伸びをする。
 そんな彼女の仕草を見て思わず口を滑らせる。
「いや、居ない訳じゃないよ」
「へぇ?」
 友人の目に興味の色が灯る。
 しまった、と思ったけれどもう遅い。
「それはどういう意味?」
 私は少し目をそらした後、意を決して告げた。
「……例えば、私とか」
 友人はきょとんとし……私の目が潤んでいるのを見て表情を変えた。
 気まずい沈黙が私たちを縛り付ける。
「あんたって、そういう趣味だっけ?」
「んー、自分では普通の女の子のつもり。男に惚れて、恋をしたりする、普通の子の」
 いつもの調子で、大人ぶったぶっきらぼうな語り口で告げる。
 けれど、それも続かない。
 顔を真っ赤にしながら、それでも告げてしまう。私の気持ちを。
「でも、しのっちが他の人の話してると、ちょっと妬けるな、て」
 ――だって、あんたには私がいるじゃない。
 なんてことを思ったけど、さすがにそこまでは言えない。
 でも、友人ならば言わなくても分かると思った。
 彼女は頭はよくないかも知れないけど、察しはいいのだ。
「…………どう答えたらいいのかしら、こういう場合」
 友人はとてもいい子だ。少なくとも、こんなことで私を嫌いにはならないでいてくれるらしい。
 それだけでとても嬉しい。
 けど、全てを受け入れてくれる、と言う訳でもないらしい。
 その顔には困惑の色が強い。
「手を出して」
「え?」
 友人は困惑しながらも、テーブルの上に腕を伸ばした。
 その手を私は握りしめる。指と指の間に自分の指を入れ込む――いわゆる恋人握り、と言う奴だ。
 握った瞬間、しのっちの体がびくり、とした。でも、逃げない。
 私はそれを嬉しく思いつつ、告げる。
「恋人が欲しいんでしょ、しのっちは」
「うん、まあ」
 いつもハキハキしている彼女にしては歯切れの悪い返事だ。それも当然だけれど、こんな反応をしてくれるなんてちょっと嬉しい。
「なら、私が代役をしてあげる。
 なあに……ちょっと友達以上、恋人未満になるだけよ」


つづく



つづくあり、と言った瞬間からいきなりやっちゃいました。
 うっは、明日はこれにオチつけないと。
 いや、別にこのままでもよくないですかね? ダメですかね?
 いい加減、恋愛要素が低いから頑張ろうとしたら何故かキマシタワーが立ちました。
 イミフ。
 そろそろ志乃先輩にもちゃんと恋をさせてあげよう、と思ってたのにこれです。
 まあいいや。次号を待て。