即興小説その15

 毎日短編書いて小説力をあげようキャンペーンその14。

(http://d.hatena.ne.jp/kaien+B/20130815/p1)

○今回のお題
 お題メーカーより。

哲学は「曇り」「兵士」「人工の才能」を使って創作するんだ!ジャンルは「指定なし」だよ!頑張ってね! http://shindanmaker.com/58531

 あー。すんげー鬱い感じになりそう。
 ダウナーダウナー。
 とりあえず、自分の才能に苦悩するけど、ゴイスーなところを見せてみんなに感謝されてハッピーエンドになればいいんじゃないでしょうか。





「……本当の力が欲しい」
「うわ、マジで中二病だっ!」
 クラスメイトの発した言葉に思わず俺はどん引きした。
「違う。私は作られた兵士。ラストバタリオンの生き残りによって訓練された作られし最後の力を継承する者」
 うわー、どんびきだわー。
 思った以上にこの子中二病だわー。
 いつも無口で何考えてるか分からない子だけど、口を開いたらもっと分からなくなったぞ。
 長い銀髪と透き通るような白い肌のせいで彼女はクラスでも浮いている。とても幻想的な見た目だが、銀髪は染めてるらしい。だって眉毛は黒いし。ついでに鼻毛も黒い。何故分かるかというと、俺の方が背が低いから彼女の顔を見ると必然的に鼻毛が見えるのだ。
 おかげで、遠目に見たらとても幻想的で漫画に出てきそうな銀髪の美少女なのに、俺が彼女を見つめると鼻毛が真っ先に見えるのだから色々と損をしている。
 それはさておき、様々な偶然によって俺はこの女の子と放課後ばったりと出くわしたのだが――いつもは人形みたいに無表情なのに今日に限ってはやたら思い詰めた顔をしていたのでついつい声をかけてしまったのだ。「どうしたの?」、と。
「本当の力ってなんだよ。意味わかんね」
 俺の言葉に彼女は目を細め、語る。
「今私が持っている力は自分の力じゃない。ラストバタリオンの科学者達によって与えられた力だけ。本当の自分の才能、力なんてない」
 俺は思わず爆笑した。腹を抱えて笑い出す。へそで茶を沸かすとはこう言うことを言うのだろう。ん?この使い方であってたっけ? なんか絶対間違ってる気がするぞ?
「な、なにを笑う? 我を侮辱するか?」
 何この子。自分の一人称が我なの? 萌える。
「そんなこと言い出したら自分の力なんて誰も持ってねーよ」
 色々とツッコミたいことはあったが、無難なところを応えることにした。
「どういう意味?」
「俺の体は親父とおっかぁから貰ったもんだ。最初から自分のものなんてねーよ。
 両親か、あるいは神様から貰ったものしか俺は持ってないぜ?」
 俺の言葉に彼女は黙り込んだ。
 透き通った黒い瞳でじっと見つめてくる。
 ぐ……見た目だけは可愛いからそんなことをされると…………どきどきしちゃうじゃねーか!
 しかし、彼女の返答はそんな色気のあるものではなかった。
「……キミは自分の母親をおっかぁ、と呼ぶのか?」
「うっせぇな。母親が北の方の出身なんだよ」
 すると彼女はそこで初めてくすりと笑った。
「どうした?」
「いや。よく分からないけど、考えているのがバカらしくなった」
「そうか」
「キミのような愚か者と会話できたおかげだ。ありがとう」
「お前感謝するのかけなすのかはっきりしろよ」
 そこでふと気になる。
「ちなみに、そのラストなんちゃらから貰った才能ってなんだ?」
 彼女は眉一つ動かさずに淡々と告げる。
「天を切り裂くマギの力」
 えー? なんかファンタジー
「なんだそれ、ちょっと見せてくれよ?」
「分かった。あの空を見て」
 と、彼女は窓の外を指さす。そこには曇り空が広がっている。
 その曇り空へ向かって、彼女は振り上げた手を振り下ろした。 
 途端――大地が震えた。
 巨大な何かが空から降ってきたような――そんな感覚。
 思わず立っていられなくなり、目をつむって歯を食いしばる。
 次に目を開けたとき――空を覆い尽くす雲は真っ二つに割れていた。
 引き裂かれた雲の合間から陽の光が差し込んでくる。
「……嘘だろ」
 俺は思わず声を漏らすが、彼女はあくまで無表情だ。
「これが――マギの力」
 無表情なのにどこか誇らしげな顔をしてる。
「うわー……中二病って頑張ればこんなことまで出来るんだな。
 俺、知らなかったよ」
「なんでやねん」







 主人公がバカでしたオチ。
 前半と後半で流れかわっとるやないけぇ!
 女の子が笑った辺りで無難にとめておけばよかった。
 寝る。