小説の反省会

 さてさて、では前回公開した小説の反省会といこう。

 まず、この小説は大雑把なプロットしては、サムライ少女「翔烈火」が戦って負けたら死ぬ男「粟井友重」と出会って、ちょっと仲良くなり、その後不良達に囲まれてピンチになり、そこへ友重が助けに来て、ゲームで勝利し、助けるという話。実に簡単な流れ。
 短編でさくっと終わらせるつもりが色々と付け足してよく分かんないことになっている。
 ざっと、最初から見ていくと、まず出会いパート。登校時に喧嘩する上級生と遭遇し、仲裁に入るはずが余計に悪化させる主人公。
 おっと、いきなり主人公にマイナスイメージだぜ! なんでやねん。そこを通報厨の相手役が現れて主人公を退場させて通報解決。
 ここで、レッカが直球勝負なのに対してトモシゲが搦め手で物事を解決するタイプだと提示。勿論、通報解決とかチクリ魔なのでトモシゲに対する読者の好感度もダウンだ!
 …… 何故積極的に好感度を下げに行くのか。勿論、トモシゲの好感度下げてるのは後で上げる為だけど、それ以上にレッカの真っ直ぐすぎる性格が好感度よりも鬱陶しさを出してるのが問題やね。気持ちいいまっすぐさをだすつもりだったけど、まっすぐ過ぎることは現代においては美徳ではない。そのうえ、この子切れたら相手をぶん殴って解決する系のアメリカンナイズされた帰国子女なのでますますあかんね。でも、史実のサムライって大体そう(何
 それはそれとしてここで軽く主人公とヒロインの因縁を作りつつ、昼休みパート!
 レッカが友人達にあいつなんなの、と切れてるけど、いや、冷静に考えてぶっ込んでくスタイルのレッカの方がおかしいとたしなめられる。後、ここでプラシーボ効果の説明。本来であればここで朝の上級生の喧嘩についての補足が入るはずがなんか書いてるうちに忘れてた。朝の上級生の喧嘩は、実はつっかかってた方は彼女を妊娠させて退学に追い込んでるのだけれど、実はその彼女が想像妊娠だったことが後で発覚。それを友人にバラされたので喧嘩になっていたのである。ここで、「想像妊娠か−、人間て思い込みで妊娠とかできるんだねー」と後の伏線にするはずが微妙なプラシーボエピソードになってる。なんでやねん。
 後、ここでレッカの友人達の名前が出てこないのは、レッカが友人達と距離を取ってるという伏瀬にするつもりだった。自称サムライを公言する彼女は勿論まともな友達があまりおらず、スマホガラケーも持ってないレッカの交友関係は入学から一ヶ月経っても大して広がってないという。友人達はみんな成績のよい大人しい子が多いのだが、実はそれは担任の先生に「あの子と仲良くしてあげてね」と小学生みたいな工作が裏でなされているとかやろうと思ってたけど、そこまでかく気力がなくて無駄な伏線に。
 そしてやってくる食堂パート。トモシゲの「戦ったら死ぬ」という謎の制約を聞かされてレッカががん泣きするという謎のエピソードだ。
 ヒロインが相手役と絆を深めるエビソートがそれってどういうことなのか。誰かツッコめよ!
 まあ、戦うこと自体が悪く言われる昨今なんだけど、スポーツをはじめとして、他人と争い、競うと言うことは決して悪くないことであり、むしろバトルするということは相手と深く分かり合えることなんだ、的なことを伝えるような話にしようかとおもってたのだけど、ヒロインがガン泣きして終わってしまった。なんだそれ、もっと読者に対して分かりやすいフォロー入れようぜ! でも、これで「あー、この女いいやつだな」と思うトモシゲもおかしい。ばかじゃねーの?
 しかしながら、哲学さん的には「戦えないなんてかわいそう」とか泣く女の子とかかなり萌えポイント高いのだった。それならそれでもっと可愛くかいてやればいいのに。一人称でレッカを選んだ時点でかなり失敗してるね!
 泣いてる女の子は外側から見ると可愛いのであって、一人称で読者と目線を合わせてしまうと途端にウザい、というか、一人称でこんな子つれてきたせいで、この時点でかなり読者は離れているだろう!
 さてさて、ここでいよいよ物語は本題へ。
 帰り道に不良に襲われ、ピンチになるのをトモシゲが助けに来る――という話の予定だったのだが、ここでふと思い出す。そういえばこの子はバトル系ヒロインだったなぁ、と。
 祖父のモデルは勿論ハリウッド・スター「ショー・コスギ」。でもこの作品においては人間国宝クラスの剣術の持ち主で、主人公のレッカも勿論剣術の達人なので、街の不良程度に後れをとらず返り討ちに。
 とはいえ、ロサンゼルスで荒事に慣れた彼女はここで敵を殲滅するよりはとっとと撤退して警察に通報することを選択。無駄に実戦派! 物語がドライブしない!
 おかげで当初の予定は崩れて物語は次の日へ!
 レッカが誘拐されなかったせいでクラスメイトが一人さらわれる!しかも、レッカが女の子グループに所属せず、一匹狼を気取っていたせいで仲のいい女の子がおらず誘拐犯もクラスメイトと言うだけで適当な子を誘拐するというお粗末な展開に! おまけにレッカ自身が携帯電話もってないせいで脅迫状も誘拐した子のスマホから他のクラスメイトに仲介すると言う始末!
 何故ここまで回りくどい! でも実際の犯罪ってかなりのお粗末な者が多くて、ドラマみたいに計画性があるものが少なく誘拐したはいいが持てあます、なんてことは多々ある話。そこら辺のリアル志向をつきつめたら、物語敵に中途半端になったぜ! もう「あー、ラノベ展開だなぁ」と言われてもいいから昨日のうちに不良に誘拐させればよかったのにリアル志向をつきつめたせいで回りくどいぜ!
 なんにしても、不良の呼び出しを受けて、サムライらしく一人で指定され場所へ向かおう!……と意気込むレッカをトモシゲがインターセプト。即通報。
 これまた現実派のトモシゲくんは馬鹿みたいに相手の要求に応じず警察に通報を選択。
 とはいえ、まさか警察が何も考えずに学校の前に来たせいで学校がパニックへ。本来であれば覆面パトカーを寄越して学校の裏門から刑事とかが来ればよかったものの、学校のメンツとか気にしない刑事が担当に当たった場合はこういうことに。だって刑事が学校のメンツとか気にする必要ないものね。世間体を気にするタイプとか学校に権威があった場合はまた変わるんだけどね。学校に権威があった場合はマスコミ工作をして凄い短期間に火消しを行うのを哲学さんは実体験として知ってるけど、まあ……どうでもいいことやね!
 んでんで、待ち合わせ場所に行ったら人質を残してものけの空。犯人達は逃げてるぜー、いえー!
 だってツイッターとかSNSの発達した現代において、そういう情報は簡単に犯人側に知られるのだよねぇ。昔あった、立てこもり事件でテレビの生中継で「今、裏口から警官が突入しようとしています」と放送した結果、裏口に待ち伏せしていた犯人グループに警察が撃退される、なんてこともあったので、今は警察の動きは報道規制されてるのだけど、一般人はガンガン拡散するので何でもかんでも公開すればいいってものではない。
 かよってる学校とかがネットで非難の嵐にされさられたりすると、色々とあることないこと言われたりして――あ、ごめん哲学さんの体験談は関係ないね、そこはパス。
 それはともかく、トモシゲの通報作戦は失敗! 犯人には逃げられたせいで話は余計ややこしく!
 書いてる哲学さんとしても、「まあ、そうなるな」と思いながら書いてたけど、フィクションとしては盛り上がらない展開だぜ! いっそ犯人達は逃げて近くにある海岸の崖の上で犯行告白でもした方が盛り上がるというものだ。なんか崖の上に犯人が居たらそれだけで盛り上がってる感があるのはきっとサスペンスドラマの見過ぎ。でも、現実でグダグダして犯人を追いかけてったらボロアパートで捕まったり、パチ屋から出てくるとこを捕まえたりとか全然盛り上がらないよりはなんぼかマシだよねー。
 はてさて、それはいいとして警察に通報したはいいが、結局犯人に逃げられ、しかも「チクリとかだっせー」と当事者以外に文句言われまくりで針のむしろのような学園生活を送るレッカ。
 まあ、この場合、犯人が捕まってても、やっぱり周りから浮いてるレッカはガンガンにあることないこと噂されるのは確定されてるのは変人の宿命。周りの同調圧力に従わないというのはこういう事である……て現実の世知辛さを強調してどーする。
 で、今度は犯人も手紙をレッカに送るという古典的な手法に。メールとかLINEに慣れた現代っ子ってなかなか手紙を送るって発想が思いつかず、むしろ、メールを送るという発想すらなかったりするのでここに辿り着いただけでも犯人達はえらいね(何
 そんな訳でようやくレッカも今回のメインの敵と初対面。
 三度の飯よりも「くっ殺」が好きな不良リーダー、道川正介ことミッチーの登場だ! あ、でも本編で名前出すタイミングなかったなぁ。
 それはともかくバトルをするも、入念に張られた罠と不運によってようやく取り押さえられるレッカ。
 書きながら、この展開にするならもっとレッカは弱く設定しておくべきだったな、と思ったり。おかげでこの状況にくるまでメッチャ時間がかかったぜ。
 そんなこんなで今度こそトモシゲが助けに来てこの話の本題突入。ゲームで決闘だ! 遊戯王的展開。
 そして、一回目のジャンケンで大量出血してあっさり倒れるトモシゲであった。
 このシーンを書きたくてこの話を書き始めたと言っても過言ではない(オイ
 ラノベ的なよくあるテンプレ構成にするなら、むしろ一番最初はこのトモシゲが大量出血で倒れるシーンでスタートし、そこから「時間は二日前に戻る」的な感じで冒頭のレッカの投稿風景に持って行った方がよりラノベ的だと思いつつ、それでも初見さんがインパクトを感じるならここまで伏せておきたい、と思ってこんな感じに。
 そして開示されるトモシゲの素性。ゲッシュですよゲッシュ。哲学さん魔術とか色々好きなんだけど、その中でもとびきり理不尽な部類に当たるこのゲッシュ、とても好きです。誓いを破ったら確実に不幸な死を遂げるけど、守ったからと言ってすごく得する訳でもないこの感じが好きです。トモシゲがこのゲッシュの魔術にかかってることはもう数年前から設定として暖めてたけど、やっとここで開示出来た。まあ、でも今回上手く使えたかというと難しいところ。
 ていうか、魔術側の伏線がここまで一切張られてないので唐突感がひどい。
 そのうちまたゲッシュに関する話は書きたいと思う。
 それはさておき、ここではトモシゲの口からはゲッシュの言葉が語られ、不良リーダーからは「思い込みが激しいから」という客観的な推測の方が語られ、どちらかが正しいかはぼかす感じに。医者としてもこんな患者来たら対応に困るだろうなぁ。
 なにはともあれ、そこで不良リーダーに「じゃあ俺も命かけるわ」と言質を取って試合再開。
 ジャンケンものではよくある宣言ジャンケンによる心理的戦の展開へ。
 ここら辺、一ターンごとに不良リーダーが負けてはリアクションを繰り返すというムービーパートの多いアクションゲームみたいな感じに。
 んで、このまま普通にトモシゲに圧勝させてさっさと次の話に持って行きたい……と思ってたけど、ミッチーが意外と持ち直して戦いは五分に。
 そう言えば書き忘れたけど、そもそもこの話は長編を書こうとしたら何度も途中で挫折してる哲学さんが、「じゃあオムニバスの連作短編にしよう」と思ってトモシゲがデスゲームをする話を2−3話書こう、と思って書き始めたもの。しかし、上にも書いたとおり、初日の放課後にレッカがさらわれるのを失敗したせいでズルズルとトモシゲのデスゲームシーンが後に引っ張られて謎の長さの中編になっているのである。
 その原因はこうしてその場その場で色んな展開を付け足していったせいだよねー。
 それはともかく、ラストは他人を信じる力で勝利。
 一気に帰り道の解決編へ。
 ホントはバトルパートも、ミッチーが持ち直した後、更にトモシゲが負けて2対2にまで追い込まれ、血反吐を吐きつつ意識がもうろうとしながら魂を削りつつラストジャンケンをすることも考えたけど、もうこれ以上長くするのは哲学さんも面倒になったので省略。
 ミッチーが「馬鹿な、何故負けた」とか言ったり「……くっそ、意識が……先に地獄で待ってるぜ」とか言いながら意識不明になったりすることも考えたけど、うざいので辞めました。
 で、本来ならここでどうしてレッカがサムライに拘るかはぼかして、次の章に話へ引き継ぎし、今度はトモシゲがレッカの祖父に会いに行くエピソードとか考えてたけど、ここまで書いて全然長編にまとまらないことが確定したので、隠し設定をせっかくだから吐き出し、強引に体裁をまとめてシメ。
 トモシゲとレッカの物語はもっと書きたかったけど、取りあえず哲学さんの今の感じだとまとまりそうにないので、残念ながらこの一話で打ち切り! やめてまた新作を別に書くことにします。
 大体からしてこの話を書くために3ヶ月近くかけてる時点で駄目すぎる。
 色々と迷走しすぎである。

 というか、やっぱりもっとライトな感じの話を書かないとなぁ。この話ももっと軽いノリで行くはずだったのに、どうして後半こうなった! 序盤からサムライを自称するアホな子スタートだったので、もっと馬鹿馬鹿しい話になるはずだったのに!
 哲学さん変なところで生真面目!!!
 というか、登場人物にツッコミ役をきっちり入れなかったのが敗因ですね。
 とりあえず、もっとショートに、かつ、気軽なノリを目指して頑張ろうと思います。




 さてさて、この反省会を最後まで読んでくれた人は気付いたと思いますが、たぶん、本編とこの反省会では、もちろん反省会の方が面白い文章になってると思います。
 なぜかっていうと、本編は哲学さんがこんな感じの話かきてーなー、とかなり自己中な感じで書いてるのに対し、こっちの反省会の文章は読む人のことを考えて解説文としての体裁をとってる……ちゃんと読者のことを考えて書いてるからです。
 とどのつまり、やっぱり読者のことを考えないとね、ていうオチ。
 当たり前のことだけど、それすら出来てなかった去年の哲学さんでした!!
 今年はちゃんと頑張ろう。
 哲学さんもいい歳だし、周りからもう諦めれ、的な声も聞かなくはないが、全然、今年も、これからも頑張っていきます。
 よろしく!