プロットのおはなし。

 ちょっと友達大勢と旅行に行ってきたりしたので、すっかり更新していませんでした。とりあえず、氷の彫刻はすっごく綺麗だし素敵なので、観光の機会があれば是非見てみてくださいね!
 ということで、いつかの日記に「皆さんはプロット、どうやって書きますか?」という内容があったと思いますので、今さらながらにそれをかきかきしてみます。私自身も、考えをまとめるきっかけになりますからっ。
 ひとによって細かい定義や考え方などは違う部分があると思いますので、あくまで私の意見としてお聞きくださいませ。これが絶対の正義だと信じちゃいけませんよ!
 ということで私の、プロットの書き方です。
 まず、自分で確認するためのものと、投稿用とではまた違うと思います。自分専用であれば、たぶん書き方はひとそれぞれの適当な感じになるのではと。
 私の場合は、全体の把握・まとめのようなつもりでやっています。それと、相手に見せることも一応は考えている感じでしょうか。小説は読者という他人がいて成り立つお仕事(だと思う)ですから、他人が見ても分からないものだと、作った意味がなくなっちゃうと思うのです。
 ということで、プロットで設定する項目は、大きく分けると以下の3つでしょうか。
・登場する主要キャラクター
・世界観
・お話のあらすじ

 あと、「この項目は何文字まで」と決めておくのも一興かもです。
 短い文章で分かりやすくイメージを伝えることの、練習になると思います。余計な部分は省いて、推すべき部分は推す練習をするのは、
作品そのものの分析をすることにつながりますし。作品を分析することで、ようは何がしたいのか、やりたいのか、魅せたいのか、伝えたいのか……が明確になってくるのです。なんとなく。作品に篭めたいものが過剰であれば、少し削る必要も出てくるかもしれません。情報がいっぱいだと、場合によっては「何がしたいのか分からない」ことになっちゃうかもですから。
 次は、各項目ごとで気をつけていることなどを、つらつら。

【キャラクター】
 キャラの過去、その過去の積み重ねで作られた「今」の人格、物語を終えた「未来」で変わるべき部分……などを気にして、書き込むようにしています。
 長所と短所も大事です。短所は「あぁ、こういうことあるかも」と共感を得られるものだといいのかしら。長所についても「こんな長所はカッコイイ、素敵、かわいい」など、やっぱり共感が持てるものだといいと思うのです。
 個性の強弱については、私もまだ勉強中ではありますけれど……。とにかく「このキャラには強烈な個性が欲しい!」のであれば、「見ている分には楽しいけれど、実際に自分の隣にいたらちょっとヤダ」くらいのレベルにすると、個性になるとかならないとか。ハルヒがそばにいたら、振り回されてばかりですごく大変そうではないですか? 熱気バサラがバンドのメンバーにいたら、気持ちよく歌うどこか翻弄されてばかりでストレス溜まっちゃいませんか? とか、そのあたりかとー。
 キャラクターが、お話の中でどういった葛藤をするのかも、設定しておきたい項目と思います。主人公の場合は特に。どんな風に苦しむのか、でしょうか。世界の平和とヒロインの命、天秤にかけなきゃいけないなら、主人公はどっちを取ろうとする? などなど。
 あと、性格についての説得力も欲しいところ。例えば「人と接するのが苦手で、誰に対しても反抗的。本音を語ろうとしない」という性格の場合、どうしてそんな性格になったのか、を考えるのです。昔は正直で素直だったけど、騙されたことがあって他人を信用できなくなり、本音を出そうとしなくなった、とか。キャラクターを考える時は、キャラクターの歴史を(大まかにでも)作るつもりでいると、薄いキャラクターにならずに済むと思います。友達に昔言われた指摘で「このキャラクターは15歳みたいだけど、まるで生まれた瞬間から15歳に見える」と言われたことがありました。15歳のキャラクターを考えるのではなく、15歳になるまでの過程も考えたほうが良い、ということになるかもしれません。

【世界観】
 特に私は、普通に現代の世界を使ったりすることは、ほとんどありません。小さい頃からファンタジーに憧れてきてたから、でしょうかー。なので、創作するものはいつも、何かしら異世界なファンタジー。現代を舞台にしていてもロボットや怪物がいたりと、どこか異質です。
 例えば現在、「人形モノ」のお話を作っているのですけれど。その世界はどんな状態であり、何が普通で、現実の私たちとは何が違うのか。ファンタジー世界というけれど、何がファンタジーなのか。私たちの普通と違うところは? 私たちの普通は通用する? 人々はどんな暮らしをしているの? 食べ物は? 入浴の文化はあるの? 資源を手に入れるのは物々交換、または金銭のようなものでやり取り? 通信手段はあるの? 現実世界で言うなら、文明や文化の発展具合はどれくらい? モチーフにしている時代・国は? など。
 ひとつポイントなのは、「ゲーム基準で世界観を考えちゃうとダメ」ということです。そう編集さんに指摘されたことがありますー。ようは、ゲームの世界とは「できること、できないこと」が決まっています。ポケモンでは相手のポケモンを捕獲しようとしたら「他人のものを取るのは泥棒!」としてすることができません。でも現実のような世界で考えれば、「なぜ、他人のポケモンを盗もうとしないのか?」という疑問を解決するために、何か設定が必要になります。単純に悪いことだから、というのもあるでしょうし、盗んだら神様ポケモンから厳しいお叱りを受けるから、というファンタジーなのも理由には設定できそうです。

 ようはゲーム基準ですと、ゲームに必要な部分でしか世界観は語られていない、ということになるのです。なのでゲーム基準で世界を考えてしまうと、「ここはどうなってるの? どうしてこういうものがあるの? ○○はないの?」というツッコミがたくさん入っちゃう恐れがあります。ゲームシステム上できないことを、お話になる舞台の設定で「○○だからできない」と改めて考える必要があるのです。
 ……こういう形で気に留めているのは、私自身が小さい頃からゲームが好きで、今でもそれなりにゲームが好きで、創作の原点もゲーム好きという面が影響しているから、という理由があったりもします。私、創作する作品がどこかしら、ゲームっぽい要素が入っているんです。なので、世界を考えるときもゲーム基準の表向きだけの設定になりがちなので、さらに一歩踏み込む形で考えるようにしていますー。

 なので例えば「魔法が使える世界」なら……「魔法は誰でも使える? 使えない?」誰でもつかえるなら、魔法によって可能となる色々が人々の生活に影響して、営みを形成しているはず。簡単に炎の魔法が使えるなら、ランプは必要じゃないはず。でもランプが必要だとしたら、何かちょっとしたことで魔法の炎は消えてしまうんだろうか? などなど、考えるべき部分はたくさんあります。誰にでも使えるわけではないとしたら、魔法使いは重宝される存在で、尊敬されるかもしれません。でも昔に悪い魔法使いがいたから嫌われていて、いまでは魔法使いというだけで迫害を受ける、という設定も面白そうです。でも迫害を受けていて肩身が狭いなら、魔法の使えない一般人に復讐してやろう、と思う輩は生まれたりしない? 生まれないなら、なんでだろう。一般人から迫害は受けてるけど、魔法使いにしか入れない楽園があって、そこで普段は幸せに暮らしているから、仕事として外に出て嫌な思いにあっても気にすることはないから? とか。
 とにかく、何か特殊な設定を世界観として入れるのであれば、その設定を基準に世界は変化しているはずなので、設定が存在することが及ぼす世界への影響、も考えておくと深みが増すかも! ということでした。

【あらすじ】
 自分だけの確認用であれば、特に気にすべきことはないと思います。
 人に見せるためのあらすじ、投稿用のあらすじであれば、ちょっと考えるべきところも。投稿用であれば文字数が決まっていると思いますので、それを基準にし、規定文字数内で作品の魅力を伝えなくてはいけません。

 ただ……この「あらすじ」については、今の私もちょっと悩んでいることがあります。
 というのも、とある方面の企画で、編集さんに作品のプロットを見ていただける機会が、何度かありまして(私以外にも大勢のひとがいましたよ)。そこで教わったことは「文字数が決まっているなら、起承転結をバランスよくあらすじに書いてしまうのはダメ。物語的にいちばん魅力的と思えるシーンを抽出して、ここが面白いんだ! というのをアピールして。前後の流れで不足する箇所は出てくるだろうけど、自分たちはプロだから、欠けてる部分くらいは脳内補完できます」ということだったんです。
 ただ。
 電撃のHPのほうに掲載されています、かの有名な『狼と香辛料』の、おそらくは投稿当時のものと思わしきあらすじ、があるのですけれども。前述したやり方とは違って、わりと平坦に、でも物語の全体の流れは分かるようなあらすじに、なっているんですね。
 それで、私の個人的な感覚では、もしこの狼と香辛料のあらすじを、そのときの編集さん、あるいは他の参加者さんに見せたとしても「面白さが伝わらない」と一蹴されちゃうだけで終わりそうな、気もしました。それくらいに、言うなれば「普通の分かりやすいあらすじ」だったのです。
 ちなみに前述の編集さんとのやり取りにより、作品を拾ってもらって、実際にもう本として店頭に並んでいる作品が、いくつかあります。ただ私自身は、その作品の(拾われる前段階のプロット)を見た限りの感想では「確かに、物語の流れも、キャラの性格も分かりやすくていいプロットかも。でも、作品としてはちょっと興味がないかなー。店頭に並んでても買わないかも」という感じで、上手とは思っても面白いとは思わなかったのです。
 でもでも、そうした作品は評価され、実際に店頭に並んでおります……ぱた。
 ……ということで。
 プロット段階で面白そうな作品が用意できれば、きっと執筆しても面白い作品になると思います。たぶん。
 ただ、プロット段階で評価が高くなかったりしても、きちんと執筆すると面白いと評価される可能性は、じゅうぶんにあると思うのです。

【まとめ】
 なので、結局は「面白い作品が執筆できればOK!」これに尽きると思います(笑)
 言うなれば、「面白い作品が書ければOKで、逆に言えば細かいことを気にしたのに面白い作品がかけなければ、意味がない」ことになるとも思います。
(私個人としては、何かしたことのすべてが無駄に終わるなんてことは、ないと思っています。人生、という主観で物事を考えた場合は。でもでも、作品は商売の道具、お金を得る手段です。どんなに過程が頑張ったものであっても、結果として評価されなければダメなのです、きっと)
(でも、学生のうちは結果よりも、その過程や結果で何を得たかが大切ですよー。何もせずとも当たり前のように100点を取れたひとと、がんばってがんばっても60点で、でもその間に自分を支援してくれた家族や友達の価値に気付けたひとであれば、後者が絶対、人生を豊かなものにできると思います! そう信じたいです)
 私は、自分の作品をより面白くしたくって、前述したようなこれらのことを(後はほかにも書ききれない細かいことも色々)しています。作品の質を高めるためのやり方は、ひとそれぞれ。プロットなんて用意しなくても書ける人は書けちゃうものです。少しだけ考えれば書ける人、たくさん考えないと書けない人、色々なスタイルがあると思います。
 そんな中でどういったスタイルをとるかは、きっと皆さん次第。他人のスタイルを参考にするのもいいですけれど、自分に合ったスタイルを見つけ出せたらいい感じかも。

 大切なのは、面白い作品を作ろうという気持ち。その気持ちを器用に刺激してあげると、より創作もすすむやもしれません。
 私の刺激の仕方、作品を作ろうという姿勢にある根本は「この作品は面白い! 私もこんな作品、つくってみたいなー」という〝共感〟です。私のとある友達は「こんな作品が面白いだって! ちくしょう、こんな作品に負けてられるか、自分だって……!」 という〝反発〟が原動力のようでしたけど(笑)
 あとは、周囲への反抗、も少しだけあるかしら。「クリエイターになるなんて無理」「夢はあきらめるもの」なんて風潮は、たぶんどの世間にも時代にもあるとは思うのですけれど……。

「周りに一人くらい、夢をかなえたひとがいても、いいじゃない!」

 という反抗の気持ちもあって、マイペースながらにも頑張っている。そんなわたしかも?
 ……すっかり長文になっちゃいました。ここまで読んでくださったひとには、めいっぱいの感謝をっ。